- 番組名:太田石井の多すぎニッポンGP
- 放送局:CBC(全国ネット)
- 放送日時:1月25日(土)14時~(90分)
全国ネット番組の特番。スタジオにMCとして「デララバ」コンビの太田、石井。そして黒木瞳、藤本美貴、速水もこみちなど全国ネットらしい豪華な陣容。
面白かった。
この番組はHPによると
日本全国から「多すぎ」というテーマに絞って今までにない新たな切り口のドキュメントバラエティ!デジタル化・効率化が叫ばれる今だからこそ、
一見無駄に見えるトゥーマッチなことに、人はより強く共感する!
とある。
番組で特筆されるべきは、10以上の「多すぎ」ネタが素晴らしい。範疇も多岐にわたり
「散歩する犬の数」に始まり、「止まれの看板」「片道7時間半かけて通う大学院生」「20個積んだハンバーガー」「ボウリングレーン116」「居酒屋のだし巻き玉子」「レトロな自動販売機140台」「43匹の動物家族」「鍼灸院長が集めた換気扇」など。僕が一番お気に入りのネタは「客が店に置いていった箸袋造形物」。箸袋を様々な形に作るお客さんの気持ちに思いを寄せるのが好きとコレクターは言う。これらのネタをを600足あるというNIKEスニーカーのシューズクロークをスタジオに見立て、なごやかに感想トークを進める。「多すぎ」ネタの一つづつが変化に富みかつユニーク。その調査力が驚異的で、成功の一因だ。
また、僕の時代とは変わったなと痛感したことは、番組提供社に「アサヒ飲料」がついていたのに、「レトロな自動販売機」ネタの中に「コカ・コーラ」や「タケダのプラッシー」がモザイクをかけることなく映し出されていた。僕の時代なら営業から必ずチェックが入ったはずだ。でも自販機のレトロさを見せるにはモザイクをかけることはネタを台無しにするので良い対応だ。今はこういう事が許される時代になったのか、あるいは提供社と交渉して理解してもらったものなのか、興味深い。
太田、石井のMCは水曜19時の「デララバ」でおなじみ。安定感は当然ある。この全国ネット特番ではこの二人のMCは意味があった。特番には顔がわかるMCは必要だから。
少し「デララバ」のMCについて記す。
番組スタートは2023年10月。1年数か月の中には2時間特番も多く、スタッフは相当頑張っている。当初は有名飲食店のこだわりを熱愛する「デララバ―」の愛情あふれたコメントで紹介することを基本としていたが、今や企画の幅を広げ「東山動植物園&鳥羽水族館」と飲食店だけではなくなったり「お土産ランキング」「豊橋を徹底深掘り」などテーマもいろいろ。テーマを深掘りして知識やエピソード、面白さを「デララバー」たちと追求していく骨子は維持している。これも調査力が面白さの要だ。
しかし、スタート当初から太田光をMCとして起用することに僕は疑問を持っていて、今なお違和感がある。太田光は笑いと社会時評に感性と論理構築で存在感のあるタレントである。ただ、この番組での起用には次の2点で違うのではないかと思っている。
まずは、彼は町ネタに向いているのか?彼のキャラクターに有名飲食店の味とエピソードを中心とする町ネタを行ってさらに楽しさが増幅するのか?見た中ではあまり感じない。
もう一点は、ローカル局ではなかなか獲得できないゴールデンでの放送枠だから、もっと意欲的なキャスティングをしてほしいのだ。このキャスティングに新しみやチャレンジはあるのか?もっと育てるという観点に注力してほしいと強く思う。そして番組と一緒に大きくなっていく、これが番組もタレントも成功するという事になっていくのではないか?
異論はもちろんあると思うが、知名度のあるタレントを使うことは特番では必然だが意欲的なローカルのレギュラー番組だと何か意味あるキャスティングをしてほしい。
話はずれたが、「太田石井の多すぎニッポンGP」は面白かった。それは圧倒的な調査と丁寧な取材をしたスタッフの頑張りに依った。
柴垣邦夫